QC工程表

QC工程表とは、製品を製造する工程を管理するため表の1つです。
プロセス順に記載されていて、各工程での検査内容が記されます。
「QC工程図」とも呼ばれます。

書かれる内容はプロセスのフロー、管理項目、管理水準、帳簿類、測定方法、使用する設備、異常発生時の処置などで、誰が見ても手順や用いる設備がわかるようにまとめます。

実際のQC工程表は以下のようなものになります。




製造の工程や業務・作業が誰にでも明確になるため、コストダウンの提案をはじめ様々なところで活躍します。
初めて取引を行う会社の場合やISOを取得している他社へは、作業標準書とともにQC工程表の提出を求められることが一般的です。

ISO9001:2000でのQC工程表の役割

ISO9001:2000(JISQ9001:2000)の7.1項「製品実現の計画」,7.5.1「製造サービス提供の管理」、8.2.3「プロセスの監視・測定」の要求の一部に対応したものとしてQC工程表を作成します。

要求された内容をQC工程表の様式に漏れなく織り込むことが必要です。

「製造管理規定」などの文章もあわせて作成されることが一般的です。


参考 7.5.1項「製造及びサービス提供の管理」
『組織は、製造及びサービス提供を計画し、管理された状態で実行すること。
管理された状態には、該当する次の状態を含むこと。
a)製品の特性を述べた情報が利用できる。
b)必要に応じて作業手順が利用できる。
c)適切な設備を使用している。
d)監視機器及び測定機器が利用でき、使用している。
e)規定された監視及び測定が実施されている。
f)リリース(次工程への引き渡し)、顧客への引き渡し及び引き渡し後の活動が規定されたとおりに実施されている。』

QC工程表の作り方

QC工程表には、専用の記号があり、書き方があります。
JIS Z8206:1982:「工程図記号」に定められたものを利用します。

記号にはそれぞれ加工・運搬・貯蔵・滞留・数量検査・品質検査といった意味があり、それぞれのフローチャートを見ることによって工程や品質の管理を行うことができます。

記号の例
○:加工
∇:保管(滞留)
◇:数量検査
□:品質検査

工程表の記号については以下のサイトが参考になります。
http://isolesson.com/blog/iso9001/post_4.html

QC工程表のサンプルがダウンロードできます。(ワードファイル)
自分で工程表のフォーマットを作るときにも参考にできます。

QC工程表の作成手順

QC工程表の作成手順を説明します。

QC工程表の作成に取りかかる前に、製造工程を確認し、プロセスのフローチャートを作成します。
(フローチャートはJIS Z 8206に基づいたものが推奨されます)

QC工程表シートを用意し、品名、品番、文書番号、日付等を記入しておきます。
先ほど作成したフローチャートを工程図の部分に工程記号と工程番号を転記します。

転記した工程において管理すべき品質特性を記入します。
同一工程において管理すべき管理項目を記入します。

具体的には使用設備、管理項目とその管理水準の規定値、測定方法、検査方法、サンプリング方式、検査記録の用いる様式、検査で不合格が発生した場合処置、異常時の処置などを記入します。

簡潔で誰が見ても工程が判るように作成されているか評価します。
確認、承認などを受け、制定し、発行します。

ポイント
QC工程表は、設計段階において設計者が作成します。
製造工程内でしか測定できない品質特性には特に注意します。
無理に一枚の紙に詰め込む必要はありません。



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非常に具体的で実践的な本で、これを読めば自分でQC工程表を作成することができるようになります。


『現場で役立つQC工程表と作業標準書 ISO9000対応』
原崎 郁平, 西沢 和夫 (著)
日刊工業新聞社